耐火金庫の試験はこのようなことを行っています
これを読めば安心!耐火金庫の性能について
耐火金庫の耐火時間には、30分、60分、90分、120分、180分、240分のものがあります。
この耐火時間が長ければ長いほど安心感がありますが、一方で耐火時間が長い金庫は、重量があり、サイズも大きい機種が多く、また金庫の価格も高くなる傾向があります。
ではこの耐火性能の認証試験は、どのような内容になっているか、あなたはご存知でしょうか。
なにか基準があるのか、それとも金庫メーカーごとにバラバラの内容なのか、耐火金庫を検討する上で、気になる方もいることでしょう。
ここでは耐火性能の認証試験の内容について説明します。
耐火金庫は、あなたの大切なものを収納保管する場所になりますので、その性能を理解した上で、検討するようにしましょう。
耐火性能は一般紙でテストしています!
耐火金庫の耐火性能は、新聞紙や雑誌などの一般紙でテストしています。
一般紙以外の収納物は、火災による高熱で変色や変質、焼損してしまう恐れがあります。
とにかく大事なものは金庫に入れておけば安心と考えている方も多いですが、いざ火災になったときのことを考えて、収納するものの素材や性質などを、事前に調べるようにしましょう。
耐火性能に基準はあるのでしょうか?
インターネットや実際の店舗で耐火金庫を探すと、いろいろなメーカーのものがあります。
そしてそれぞれの商品で耐火時間の表示がされていますが、それは、各国の認証試験基準に合格したものとして表示されています。
ここでは代表的な4つの認証機関を紹介します。
- JIS(日本工業規格)
- RISE(旧:SP、スウェーデン技術研究所)…ヨーロッパでは一般的な工業規格。
- KS(韓国国家基準)…韓国内の産業標準化法に基づいた工業製品の規格。
- UL(アメリカ保険業者安全試験所)・・・アメリカに本拠がある非営利機関。
現在日本国内で販売されている耐火金庫の多くは海外製品であり、また国内生産している金庫メーカーもありますが、なかには国内メーカーでも生産は海外で行っているというケースもあります。
こうした背景から、国内で販売されている耐火金庫も、すべてがJISの認証を受けているとは限らず、海外の認証試験にのみ合格した耐火金庫も多くなっています。
では、その認証試験内容はどのようなものなのでしょうか?
耐火性能の認証試験は、大きく2つの内容があります。
- 標準加熱試験・・・金庫を炉内に入れ、定める各標準温度曲線に従い規定時間加熱する試験。
- 急加熱・衝撃落下併用試験・・・高温に上がった炉内に金庫を入れ加熱し、一定の高さから金庫を落下。さらに金庫を逆さにして定める各標準温度曲線に従い、規定時間加熱する試験。
それぞれの認証機関の①標準加熱試験、②急加熱・衝撃落下併用試験の具体的な内容は、以下の表でご確認ください。
各認証機関での標準加熱試験の内容
RISE(旧SP) | KS | JIS | UL | |
標準加熱試験 | 炉内温度 | |||
耐火60分:1010℃ | 耐火60分:927℃ | 耐火60分:927℃ | 耐火60分:927℃ | |
耐火90分:1010℃ | 耐火120分:1010℃ | 耐火120分:1010℃ | 耐火120分:1010℃ | |
耐火120分:1010℃ | ||||
合格基準 | ||||
庫内温度150℃以下 | 庫内温度177℃以下 | 庫内温度177℃以下 | 庫内温度177℃以下 |
この試験内容から標準加熱試験では、SP(スウェーデン技術研究所)が、他の認証機関より厳しい条件、かつ合格基準を設定していると言えます。
各認証機関での急加熱・衝撃落下併用試験の内容
急加熱・衝撃落下併用試験は、KSとJISで行われていますが、SPでは検査が行われていません。
またULでは、衝撃落下試験と急加熱試験を併用ではなく、それぞれで分割して試験を実施していますが、その条件はKSとJISに近い内容になっています。
KSとJISの検査内容は、以下の通りです。
KS | JIS | |
急加熱・衝撃落下併用試験 | 落下前の炉内温度 | |
1090℃ | 1090℃ | |
加熱時間 | ||
耐火60分:30分間加熱 | 耐火60分:30分間加熱 | |
耐火120分:30分加熱+追加15分 | 耐火120分:30分加熱+追加15分 | |
落下高度と落下方法 | ||
炉内より取り出し4分以内で9.1mの高さからレンガの敷かれたコンクリート床に落下 | 炉内より取り出し4分以内で9.1mの高さからレンガの敷かれたコンクリート床に落下 | |
落下後の再焼却と加熱時間 | ||
落下試験後、耐火金庫を上下逆さまにして再度炉内に入れ、標準温度曲線に沿い再加熱、その後自然冷却。 | 落下試験後、耐火金庫を上下逆さまにして再度炉内に入れ、標準温度曲線に沿い再加熱、その後自然冷却。 | |
耐火60分:843℃で30分間再加熱 | 耐火60分:843℃で30分間再加熱 | |
耐火120分:893℃で45分間再加熱 | 耐火120分:893℃で45分間再加熱 | |
合格基準 | ||
破裂が起こらない | 破裂が起こらない | |
施錠が維持されている | 施錠が維持されている | |
庫内の新聞紙が判読できる | 庫内の新聞紙が判読できる |
これを見ると、KSもJISも同内容となっているので、どちらかの検査を合格していれば、急加熱・衝撃落下の点で、耐火金庫として安心と言えるでしょう。
なお最近の金庫のカタログ表示を見ますと、「非JIS認証製品」と記載されている商品も多く見られます。
これはJISの基準が改訂され、「耐破壊性能試験(TS-15)」の基準を満たすことが、JIS認証の基準に加えられたことにあります。
また「非JIS認証製品」、「JIS認証製品」でも「急加熱・衝撃落下試験」の基準に満たしていない製品もあります。
お買い求めの際は、事前にメーカーや販売店へ確認することをおすすめします。
ディプロマット製耐火金庫の認証規格
ディプロマット社製の耐火金庫は、耐火性能ではRISE(旧SP)、KSなどの認証規格に合格しています。
また世界100カ国以上で販売されている製品で、その点からも信頼感が高いと言えるでしょう。
当社の耐火金庫は、製品により、60分、90分、120分の耐火時間があります。事務所用、家庭用と使用する場面に合わせた耐火時間をもつ金庫を選ぶようにしましょう。