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メーカーによって金庫の性能差はあるのでしょうか?

耐火金庫は、耐火を目的に作られた金庫です。耐火金庫と呼ぶためには、検査機関の耐火性能試験に合格したものである必要があります。

日本の検査機関である日本産業規格(JIS)でも耐火性能試験が行われていますが、日本国内に流通する耐火金庫は、必ずしもJIS規格に認証しているとは限りません。

日本には、海外メーカーの耐火金庫が輸入されており、その製造国や、主要輸出先の検査機関の耐火性能試験に合格した製品が、数多く販売されています。

ここでは、メーカーによって耐火金庫に性能差があるのかというテーマで、耐火性能試験はどういう内容でおこなっているか、内容に差があるのかを説明します。耐火金庫であれば、手提げ金庫や保管庫(セキュリティセーフ)と比べて安心感はありますが、あなたのニーズに合った性能を持つ金庫を選ぶようにしましょう。

耐火性能試験を行っている代表的な海外の検査機関

日本国内に流通している耐火金庫の検査機関で、JIS規格以外の代表的な検査機関を紹介します。

  • RISE(Research Institutes of Sweden):スウェーデン技術研究所(旧SP)

スウェーデン政府で運営されている試験研究所。ヨーロッパでは一般的な工業規格。

  • KS(Korean Standards):韓国産業標準
  • UL(Underwriters Laboratories):アメリカにある世界的な安全認証会社

海外メーカーの耐火金庫は、JIS規格ではなく、上記検査機関の認証を受けている製品が多いです。金庫を検討する際は、製造国とどの検査機関の認証を受けているか、確認しておくことをおすすめします。

 

各検査機関の耐火性能試験の内容とは?

耐火性能試験には、標準加熱試験と急加熱・衝撃落下性能試験の22種類の試験が行われています。

標準加熱試験とは、金庫を炉内に入れ、定める各標準温度曲線に従い規定時間加熱する試験です。

急加熱・衝撃落下性能試験は、高温に上がった炉内に金庫を入れ加熱し、一定の高さから金庫を落下。さらに金庫を逆さにして、定める各標準温度曲線に従い、規定時間加熱する試験内容です。

それぞれの認証機関の標準加熱試験の内容は、以下の通りです。

RISE(旧SP) KS JIS UL
標準加熱試験 炉内温度
耐火60分:1010℃ 耐火60分:927℃ 耐火60分:927℃ 耐火60分:927℃
耐火90分:1010℃ 耐火120分:1010℃ 耐火120分:1010℃ 耐火120分:1010℃
耐火120分:1010℃
合格基準
庫内温度150℃以下 庫内温度177℃以下 庫内温度177℃以下 庫内温度177℃以下

こうしてみると、KS、JIS、ULの合格基準が177℃以下なのに対し、RISEは150℃以下なので、炉内温度設定含め、他の認証機関より厳しい条件で、かつ厳しい合格基準を設定していると言えるでしょう。

 

急加熱・衝撃落下併用試験は、KSとJISで行われていますが、RISEでは検査が行われていません。またULでは、衝撃落下試験と急加熱試験を併用ではなく、それぞれで分割して試験を実施していますが、その条件はKSとJISに近い内容になっています。

KS JIS

急加熱・衝撃落下性能試験

落下前の炉内温度
1090℃ 1090℃
加熱時間
耐火60分:30分間加熱 耐火60分:30分間加熱
耐火120分:30分加熱+追加15分 耐火120分:30分加熱+追加15分
落下高度と落下方法
炉内より取り出し4分以内で9.1mの高さからレンガの敷かれたコンクリート床に落下 炉内より取り出し4分以内で9.1mの高さからレンガの敷かれたコンクリート床に落下
落下後の再焼却と加熱時間
落下試験後、耐火金庫を上下逆さまにして再度炉内に入れ、標準温度曲線に沿い再加熱、その後自然冷却。 落下試験後、耐火金庫を上下逆さまにして再度炉内に入れ、標準温度曲線に沿い再加熱、その後自然冷却。
耐火60分:843℃で30分間再加熱 耐火60分:843℃で30分間再加熱
耐火120分:893℃で45分間再加熱 耐火120分:893℃で45分間再加熱
合格基準
破裂が起こらない 破裂が起こらない
施錠が維持されている 施錠が維持されている
庫内の新聞紙が判読できる 庫内の新聞紙が判読できる

これを見ると、KSもJISも同内容となっているので、どちらかの検査を合格していれば、耐火金庫として安心と言えるでしょう。

あなたが検討している耐火金庫が、標準加熱試験だけでなく、急加熱・衝撃落下試験に合格しているかを確認しておくことをおすすめします。

 

JIS規格品が少ない理由

先にも述べましたが、現在日本国内で販売されている耐火金庫の多くは海外製品であり、また国内生産している金庫メーカーもありますが、なかには国内メーカーでも生産は海外で行っているというケースもあります。こうした背景から、国内で販売されている耐火金庫も、すべてがJISの認証を受けているとは限りません。

JIS認証は、2006年に改訂され、金庫のこじ開けに対する防盗基準である「耐破壊性能試験(TS-15)」の基準が盛り込まれ、この試験にも合格したものが、JIS認証製品になります。また耐火性能試験には合格しているが、TS-15に合格していない製品は、非JIS認証製品と呼ばれており、この2つは区別されていますので、注意が必要です。

 

海外製品で、防盗性能がある製品もあります。弊社ディプロマット製金庫は、プレミアムセーフのPALLADIUMシリーズ、NEXTPLUSシリーズに防盗性能を備えています。この防盗性能は、UL規格の試験内容に準拠したものになっています。

耐火金庫も十分堅牢な構造ですが、より強固でセキュリティ性の高い金庫を検討する場合は、こうした耐工具破壊試験に合格した製品を検討することをおすすめします。

 

耐火金庫の性能差は、上記のように、そのメーカーがどの検査機関の認証試験に合格しているかで、差はありますが、その差はわずかと言えます。ただしその差が、災害や空き巣といった時に、あなたにとって大切なものを守れるかどうかにつながるかもしれません。耐火金庫を購入する際は、ご自身で納得のいく性能を持つ製品を選ぶようにしましょう。

 

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