貸金庫に預ける時代から、自宅で守る時代へ ―貸金庫と家庭用金庫の使い分けについて

金庫には、自宅や事務所に置く金庫とは別に、金融機関などには貸金庫があります。貸金庫に預けておけば、あなたの自宅が窃盗や自然災害などで被害を受けたとしても、大切な財産や思い出の品を守ることができます。
しかし、最近の金融機関での貸金庫にまつわる事件をきっかけに、その安全性や信用に不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
また金融機関の店舗の統廃合をきっかけに、貸金庫業務を廃止する店舗も増えているようです。
2025年6月には、全国銀行協会(全銀協)において、これまで不明瞭だった貸金庫での現金保管を、今後は不可とする規定の改訂も発表されました。
ここでは貸金庫と家庭用金庫の違いや、どう使い分けるべきかを説明します。また、今後は貸金庫ではなく家庭用金庫で、「大切なものは、自分で守る」ことも検討いただけますと幸いです。
貸金庫と家庭用金庫の比較ポイントによる違い

貸金庫と家庭用金庫では、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここでは利便性、収納量、セキュリティ、価格、防災対策、防犯対策、プライバシー、管理のしやすさの、8つのポイントで、それぞれの特徴をまとめてみました。
| 比較ポイント | 貸金庫 | 家庭用金庫 |
| 利便性 | 金融機関の営業時間や利用するための移動時間など、使いたいときにすぐ取り出せない場合がある。 また貸金庫を使用する際の入室カードや鍵、暗証番号などのセキュリティツールも必要。 |
自宅にあるので、24時間いつでも取り出せて便利。 |
| 収納量 | 金融機関よって小型~大型の様々なサイズあり。 事前に、半年から一年での契約が必要。 |
メーカーや製品により様々なサイズの製品がある。 ただし自宅の設置スペースをふまえて検討する必要がある。 |
| セキュリティ | 極めて高かったが、貸金庫にまつわる事件から、管理体制に不安を感じる人もいる。 | メーカーや製品により、耐火・耐水・防盗性能に差がある。 ダイヤル式、シリンダーキー式、テンキー式といったロックタイプでも、セキュリティ性は異なる。 |
| 価格(費用) | 年間1~3万円程度が一般的(継続的に費用が発生する)。 | メーカーや製品、性能機能により異なるが、数万円~数十万円まで幅広い(初期費用のみ)。 貴重物のための開梱設置費が別途必要となる場合あり。 |
| 防災対策 | 金融機関の建物自体が堅牢なので、防災性能が高い。 | 耐火金庫であっても、災害によっては設置場所や方法で、影響を受けることもある。 |
| 防犯対策 | 金融機関の建物自体が堅牢なので、防犯性能が高い。 ※内部関係者の持ち去りが発覚 |
不審者による持ち去り対策や破壊行為から金庫を守るための床や壁への固定などの対策や設置場所の工夫が必要。 別途ホームセキュリティの導入等の検討も必要。 |
| プライバシー | 第三者の目に触れず、安心して保管できる。 契約者本人以外は使用する場合は、手続きが面倒。 |
自宅にあるため、家族や来訪者など他人の目に触れる可能性がある。 開錠方法を知っていれば、誰でも開錠できる。 |
| 管理のしやすさ | 金融機関への移動や出し入れに手間がかかるため、頻繁な利用には不向き。 | 日常的に使う書類や貴重品、現金などの管理に便利。 |
金庫、家庭用金庫それぞれに特徴がありますが、最近では、貸金庫の特徴の一つだった安心感や信用が薄らいできています。また貸金庫へ現金保管をしている方は、今回の全銀協の規定改訂により、新たな保管方法を検討する必要があるかもしれません。
貸金庫のプライバシーに関してですが、一般的には、金融機関に登録している契約者しか、貸金庫の開閉はできません。契約者本人が死亡した場合は、預金同様、貸金庫も凍結されるので、中のものを勝手に持ち出すことはできなくなるので注意しましょう。
貸金庫と家庭用金庫 価格(費用)面の違い

次に貸金庫と家庭用金庫の価格(費用)面について、初期費用、維持費用、その他費用の面でまとめてみました。
| 項目 | 貸金庫 | 家庭用金庫 |
| 初期費用 | なし (別途契約事務手数料などがかかる場合あり) |
5万円〜数十万円 (耐火・防盗などの性能、サイズ、ロック方式による) |
| 維持費用 | 年間1万円〜3万円程度(サイズによる) | 電池代(電池式の場合)、電気代(電源コンセントの場合) |
| その他費用 | なし | 設置費用(大型の場合)、廃棄費用(処分したい場合) |
| 合計費用 | 長期間使用すると、家庭用金庫より高くなる傾向がある | 初期費用はかかるが、長期間使用すると、貸金庫より安くなる傾向がある |
どのような家庭用金庫を選ぶかでも異なりますが、貸金庫を約2~3年間継続使用すれば、一般的な耐火金庫を購入する場合と、費用感は変わらないでしょう。
ただし耐火金庫には約20年の有効耐用年数があり、この20年を目安に、買い替えを検討しなければならない点に注意しましょう。耐火金庫は、経年とともに耐火性能が劣ってきます。
詳しくは、以下URLを参照ください。
【公式】ディプロマット・ジャパン株式会社 (diplomat-jpn.com)
ディプロマット社では、金庫としての性能や機能は備えつつも、従来の金庫とは異なる、高いデザイン性を有したプレミアムセーフシリーズも人気です。貸金庫への保管に不安を感じる方は、大切なものを、「身近で守る」家庭用金庫で保管することも、考えてみてはいかがでしょうか。
貸金庫と家庭用金庫、それぞれに適した収納物とは?

貸金庫と家庭用金庫は、防災防犯、セキュリティ性、使用頻度等により、それぞれに適した収納物があります。下記では、それぞれの金庫に何を収納保管するのが適しているかをまとめてみました。
| 項目 | 貸金庫に適した 収納物(例) |
家庭用金庫に適した 収納物(例) |
| 書類関連 | 権利書、有価証券、重要契約書、保険証券、遺言書等 | 契印、銀行印、預金通帳、マイナンバーカード、パスポート、保険証等 一般紙を用いた書類全般、書籍 |
| 貴重品 | ※使用頻度の高い貴重品は、取りに行く手間を考えると、適していません | 普段使いの貴重品、スマートフォン、小型家電 ※火災時には変形/変色等のリスクあり |
| 貴金属・ 美術品等 |
高価な貴金属・宝石、美術品、骨董品、高額なコレクション | 普段使いの貴金属や腕時計 ※収納物によっては、盗難リスク、火災時には変色/変形し価値を失う恐れがあります |
| 現金 | ※金融機関により制限あり | 日常使用の少額の現金 ※大量の現金はおすすめできません |
| その他 | 思い出の品(写真、手紙など)、記念品 | 思い出の品(写真、手紙など)、記念品 |
一般紙でできた書類は、貸金庫、家庭用金庫どちらにも適していますので、使用頻度で判断するとよいでしょう。
普段使いの貴重品は、日常的にすぐに取り出せる点で、家庭用金庫が適しています。
家庭用金庫に高額の現金を保管したい場合には、防犯対策として、耐火金庫より堅牢で重量のある防盗金庫や、防盗性能のある金庫を選んだ上で、ホームセキュリティや防犯カメラ等と複合的な対策を取ることをおすすめします。
貸金庫と家庭用金庫をどう使い分けるべきか?

もしあなたが貸金庫と家庭用金庫を使い分けることができるのならば、使用する頻度が多く、なるべく手元に保管しておきたいものは「身近で守る」家庭用金庫へ、滅多に使わないが失いたくはない、大切なものは、貸金庫へ収納保管することがおすすめです。
家庭用金庫と比べて利便性は劣るかもしれませんが、失いたくない本当に大切なものは、貸金庫に預けておけば、家庭用金庫と比べて安心感は増すことでしょう。
また貸金庫はプライバシーが保たれているので、相続に関する書類を保管しておくこともよいでしょう。
当社公式ストアのディプロマット・ジャパンストアでは、ディプロマット製プレミアム金庫シリーズをはじめとした各種家庭用金庫を取り揃えております。是非ご検討ください。
著者:菅谷 浩行
ディプロマット・ジャパン株式会社 金庫診断士
金庫の販売・導入サポートを通じて蓄積した実務経験をもとに、
家庭用・法人向けを問わず、金庫選びや使い方、防災・防犯に関する情報を発信しています



