防災の観点からみた家庭用金庫の必要性

東日本大震災の時には大規模な津波により多くの人が被災され、大切なものを失いました。災害はいつ起こるかわかりませんし、その規模を予想することもできません。ただ唯一わかっていることは、ひとたび災害がやってきたら、もとの平常時の暮らし戻るまでには時間がかかるということだけです。
ここでは災害時に何をどう守るべきかの観点から家庭用金庫の必要性を考えてみることにしましょう。

常時携帯しておくべきもの

いつやってくるかわからない災害に備えて最低限持って歩くべきものは、当座をしのぐための「現金」と本人確認ができる書類、たとえば「運転免許証」や「健康保険証」です。

災害時は停電などが発生し、ATMを含む銀行はしばらく機能しないと考えた方がいいですから、通常使うお金のほかに当座をしのげるだけの現金を分けて持って歩くことを習慣づけておきましょう。現金は2-3万円くらいは必要です。

たとえ通帳や印鑑、キャッシュカードがなくなってしまったとしても、本人確認できる書類さえあれば災害時は特例でお金がおろせるようになります。また、銀行以外の手続き、たとえば保険金の請求手続きなども本人確認のできる書類さえあれば、手続きをすることが可能になります。

非常時持出袋にいれておくべきもの

東日本大震災で自宅に非常時持出袋を用意したご家庭も多いことと思います。

持出袋のなかには飲料水やブランケット、非常用の食料、救急箱のような避難場所で必要となるものを入れていることが多いと思いますが、ここに追加で入れておきたいのが、銀行口座や保険の詳細を一覧にまとめたリストです。

先にも触れた通り、大規模な災害時には金融機関は特例を適用して、通常時に必要な書類の一部を省略できる取り扱いを開始します。つまり、銀行でいえば通帳や印鑑、キャッシュカードがなくても、保険でいえば保険証券がなくても現金の払い出しをする処理を行ってくれる場合があるのです。もちろん通帳や印鑑、保険証券などを持出袋にいれておくに越したことはないのですが、かさばったり重くなったりで、肝心な避難に悪い影響が出ては元も子もありません。そんな時に詳細のわかるリスト1枚と、本人確認できる書類さえ持っていれば、再発行も含めほとんどの手続きがほぼ完璧にできるようになります。

このほか非常持出袋にあわせて入れておきたいのが、やはり現金です。こちらはできれば1万円札ではなく、千円札などなるべく細かいお金で用意をしておきましょう。災害時はお店も被害を受けるので、なるべくお釣りをもらわなくても済むようにするのが狙いです。

また、電気を使わず発電できる携帯電話の充電器なども入れておくと重宝します。

家庭用金庫の必要性

では、災害時の家庭用金庫の役割は何なのでしょうか。

それはずばり、常時携帯するものでもなく、非常時持出袋に入れられるものでもない、大切なものを守ることです。

東日本大震災の時には、5,700個もの金庫が警察に届けられ、総額23億円もの現金が持ち主の手に返されたというニュースがありました。

金庫に入れたからといってすべてが守られるとは限りませんが、タンスや押入れにしまっておくよりは保存できる可能性は高くなります。

家庭用金庫をこれから購入されるという方は、ぜひ耐火性能のしっかりしたものを選ぶようにしてください。そうでないと防災の観点からは金庫を設置する意味がほとんどなくなってしまいます。

金庫の耐火性能は、日本の規格なら30分、1時間、2時間、3時間、4時間と5つのグレードに分けられています。もちろんできるだけ長い時間耐火できる金庫を選ぶに越したことはないのですが、耐火性能とサイズ・重量・価格はほぼ比例します。それに一般家庭に大型の金庫は明らかに不似合いです。家庭用ならば1時間から2時間程度の耐火性能のある金庫を選ぶことをオススメします。

本当に守りたいものは何か?

最後に金庫には何を入れておくべきなのか、という話をしましょう。

先にも触れた通り、金融機関に関するものは大抵のものは再発行できます。不動産の権利書であっても、それを悪用されない限りは所有権を失うことはありません。

重要書類であることは間違いありませんが、消失するということを前提に考えると、実はそれほど大切ではないのかもしれません。

実は一番大切なのは、「お金では買えないもの」です。

たとえば「家族の思い出」はお金で買うことはできません。初めての出産でわからないことばかりのなか、必死で育てた子どもの記録が詰まった母子手帳。保育園や幼稚園ではじめて描いてくれた作品の数々。家族で行った旅行の写真。どんなにお金をかけても、なくなってしまったらもう2度と手にすることはできません。

これに今、もしあなたが共感してくださっているとしたら、あなたの家にはきっと家庭用金庫が本当に必要なのだと思います。

最近では小型でデザインも性能もいい金庫がたくさん販売されています。

ぜひ一度ご覧になってみてください。

ディプロマット・ジャパン

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