防災対策から考える
災害時の火事場泥棒から、家に残した大切なものを守る

防災用品は、必要だと思っていても、つい後回しになりやすいものです。
毎日使う家電が壊れれば買い替えますし、なくなった日用品も次の買い物で補充します。でも、消火器や家具の転倒防止器具、非常用の水や食料は、今日なくても普段の暮らしにはそれほど困りません。
「そろそろ用意したほうがいいかな」と思いながら、また今度。そのまま何年か経っていた、ということもあるのではないでしょうか。
けれど、防災用品には、ほかの買い物とは少し違うところがあります。
それは、必要になってからでは間に合わないものがあることです。
地震が起きてから家具を固定することはできませんし、火災が起きてから火災警報器や消火器を用意することもできません。
出番があるかどうかわからないものにお金をかけるのは、少し迷います。でも、まだ必要になっていない今こそ、準備ができるときでもあります。
そして、防災用品は、本来の出番が一度もないまま終わることが、いちばんいいものでもあります。
今回は、そんな少し不思議な「備える」ということについて、改めて考えてみます。
この記事でわかること
防災用品には、普段ほとんど使わないものが少なくありません。それでも備えておくのは、災害が起きてからでは間に合わないことがあるからです。住宅用火災警報器や家具の転倒防止、非常用品の備蓄と同じように、大切な書類や記録を守る場所をあらかじめつくっておくことも、「もしもの前にできる備え」のひとつです。
防災は、「起きてから」ではできないことがある

災害への備えには、起きたあとでもできることと、起きる前にしかできないことがあります。
水や食料が不足すれば、状況によっては支援を受けられるかもしれません。壊れてしまった家具や家電も、時間はかかっても買い直せることがあります。
一方で、家具を壁に固定したり、火災を早く知らせる設備を整えたりすることは、被害が起きてからでは間に合いません。
住宅用火災警報器は、そのわかりやすい例です。
総務省消防庁によると、住宅用火災警報器が設置されている住宅では、設置されていない住宅と比べ、住宅火災100件あたりの死者数や損害額が大きく減少しています。
普段は天井にあって、ほとんど意識することのない設備。それでも、本当に必要になったときには、大きな役割があります。
防災というと、大がかりな準備を思い浮かべてしまいますが、実際には「まだ大丈夫なうちに、できることをひとつ済ませておく」。その積み重ねなのかもしれません。
金庫も、「何も起きていないとき」に考える

金庫についても、少し似ています。
火災が起きてから耐火金庫を用意することはできません。大切な書類や記録を失ってから、「ここにしまっておけばよかった」と思っても、元に戻せないものがあります。
もちろん、金庫は命を守るための道具ではありません。
災害が起きたときには、何よりも自分や家族の安全を確保し、必要であればすぐに避難することが優先です。
そのうえで金庫が担うのは、避難するときに持ち出すことが難しいものを、家の中で守ることです。
通帳や印鑑、保険証券、不動産に関する書類、契約書。家族の写真や、暮らしや仕事に関わる大切な記録を保管している家庭もあるでしょう。
普段はほとんど取り出さなくても、失えば再発行に時間がかかったり、同じものを二度と手に入れられなかったりするものがあります。
だからこそ、大切なものの保管場所も、何かが起きてからではなく、何も起きていない日に考えておきたいことのひとつです。
津波のあとに見つかった、たくさんの金庫

「災害の前に、大切なものの置き場所を決めておく」ということを考えるうえで、印象的な出来事があります。
2011年の東日本大震災では、津波で流された数千個もの金庫が、岩手・宮城・福島の被災地で拾得物として警察に届けられました。
泥や海水で傷み、外からは持ち主がわからないものも多くありました。警察は金庫を一つひとつ開け、中に残された預金通帳や権利証などを手掛かりに、持ち主を探していきました。
警察庁によると、金庫などから見つかった多額の現金も、その多くが所有者へ返還されています。
もちろん、この出来事は「金庫に入れておけば、どんな災害でも中身を守れる」という話ではありません。災害の規模や金庫の性能、設置環境によって状況は大きく異なります。
それでも、家そのものが大きな被害を受けたあとに、金庫の中に残っていたものが持ち主へつながる手掛かりになったという事実には、大切なものの保管を考えるヒントがあります。
何も起きていない日なら、引き出しにしまっていても、金庫にしまっていても、その違いを感じることはほとんどありません。
その違いが意味を持つのは、「もしも」が起きたときなのかもしれません。
たくさん備えるより、「何を守りたいか」を考えてみる

防災について調べ始めると、あれもこれも用意しなくてはいけないような気持ちになります。
でも、すべてを一度に揃える必要はありません。
水や食料を少し多めに置いておく。家具を固定する。避難場所を家族で確認する。
暮らしの延長でできることを、ひとつずつ整えていく。それだけでも備えは進んでいきます。
大切なものの保管についても、同じです。
まずは家の中を見渡して、「これを失ったら困るだろうな」と思うものを考えてみる。
再発行に時間がかかるもの。暮らしを立て直すときに必要になるもの。そして、同じものを二度と手に入れられないもの。
そのなかに、災害が起きても家の中で守っておきたいものが見つかったとき、金庫という選択肢があります。
金庫を買うことそのものが目的なのではありません。
自分たちの暮らしでは、何を守る備えが必要なのか。
そこから考えてみることが、最初の一歩です。

出番がないままでも、それでいい

防災用品は、少し変わった買い物です。新しく手に入れても、使う日を楽しみにするものではありません。
非常食は賞味期限を迎えたら普段の食事として食べ、消火器や火災警報器も、一度も本来の出番がないまま交換の時期を迎える。それでいいのだと思います。
金庫の耐火性能や、災害への備えとしての役割も、本当に確かめる日は来ないほうがいい。
それでも、大切なものを守る場所をあらかじめつくっておけば、「もしも」のためにできることをひとつ済ませておけます。
災害のことを毎日心配しながら暮らす必要はありません。むしろ、何も起きていない日にできることを整えておけば、普段はそのことを忘れて暮らしていけます。
使わずに済むのが、いちばんいい。
そう願いながら用意しておくことも、防災のひとつのかたちではないでしょうか。
「もしも」のための保管場所を、暮らしの中に
ディプロマットでは、火災への備えや保管したいもの、住まいの環境に合わせて選べる家庭用金庫をご用意しています。
今すぐ必要になるものではないからこそ、「まだ大丈夫」と思える日に、家の中の大切なものを一度見直してみてくださ

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